日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー)

  • 平凡社 (2000年2月15日発売)
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感想 : 82
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明治初期に日本の奥地ー東北地方から北海道にかけてを旅した英国夫人の紀行文。
自然に対する詩的な表現はいかにも英国人らしく、興味津々に土着文化のなかにわけいっていくバードの筆致はとても楽しいのだけれど、ここでも映画『サーミの血』を思い出す。
イザベラ・バードと現代人の自分では当然ながら受けてきた教育、歴史への反省に差があって、自分に元気がないとその差を時代の違いだと飲み込めないので読み進みめるのになかなか時間がかかった。
しかし彼女は当時の英国上流階級の女性の常識の範囲内で精一杯異俗への理解と愛情を示している。つまり、当時のヨーロッパ知識階級の人びとの思考として捉えてもよいのだろうな。
色々とし手厳しい意見も多いがアイヌのイヨマンテ(熊送り)の儀式についても言及があり、わたしはイヨマンテの記録映像はとても見ていられなかったのだけど、それをバードは熊信仰の儀式としてたんたんと記録している点でも信仰自体については(その信仰を未熟とか言っていても)敬意を払う人であったことがわかる。
とりあえず宮本常一の解説本が次に控えているので未消化のままにしておく。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 民俗・文化
感想投稿日 : 2020年8月9日
読了日 : 2020年8月9日
本棚登録日 : 2020年8月9日

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