怒り(上) (中公文庫 よ 43-2)

著者 :
  • 中央公論新社 (2016年1月21日発売)
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夫婦を惨殺し、現場に「怒」という血文字を残して行方をくらました犯人。
その後、港町で暮らす父娘、大企業に勤めるゲイの男、沖縄に転居した女子高生の前に、身元不詳の3人の男が現れる。
彼らは男を受け入れるが、テレビでの公開捜査をきっかけに、犯人ではないかという疑念が芽生え始める。

相手のことを信じたいけれど、信じられない。
相手から信じてもらいたいけれど、その方法が分からない。
何が分かれば、信じられるだろうか。
自分をさらけ出すことだろうか。
でも、相手のことを信じられなければ、そんなことはできない。さらけ出して傷つくのは怖い。

この小説では、相手のことを信じた人と、信じられなかった人が、それぞれの結末を迎える。
続きが気になるストーリー展開というだけでなく、信じるということの難しさを描いた、いい小説だと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2020年11月5日
読了日 : 2020年11月5日
本棚登録日 : 2020年11月5日

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