死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々(1)(少年チャンピオン・コミックス・タップ! )
- 秋田書店 (2014年12月10日発売)
空灰のシリーズ的な感じです。
前作と同じく、かわいらしい話、後味の悪い話、痛くて辛い話などなどの短編が描かれています。
・短編:おねがいだから死んでくれ
「ぼっち」とか「コミュ障」というものの本質について触れたような気がします。
人と感性が合い、同じものを好きになれるということは、当たり前のように思えて、実はとても幸せなことなのではないでしょうか。
これはその「当たり前」ができない少年の話です。
少年は性格が悪いと言われ、傷つきますが、そもそも彼は物事を意図的に悪く言っているというよりは、本音を隠せないのです。
好むものやそもそもの価値観などが違いすぎて、クラスメイトと同じ感想を持つことができません。共感して、器用に人に合わせるすべを持っていません。
この状態がいわゆるコミュ障のひとつではないでしょうか。
当然孤独感が強くなり、ますます自分の世界に没頭し、他人への恐れが深くなっていきます。
けれど漫画という自己表現の場所を得て、少年はそこに希望を見出します。
そして自分と似た感性を持っているかもしれない人間に縋りますが…
・WEB漫画再録:ニーソ眼鏡児童液
統合失調症など、精神の病気に関しては、
「これはニセモノでホンモノじゃない」
などと批判を受けることがありますが、
精神の症状にもさまざまな種類があり、テンプレート的なものが必ずしも正しいとは限りません。
この短編では簡単な会話だけでどう見ても青年が狂っていることを読者に伝えていきますが、
後半で、彼の気がついたことは妄想なのか現実なのかということを投げかけられます。しかしそれは…
・がんばれメガネ
主人公が大学デビューした高校の同級生にドン引きしながら会話をしますが、再会の理由は…
なかなか生々しい話になっています。
断片的なセリフの内容だけで、その人間がどんな状態に置かれてるかをハッキリさせてゆくのが非常に上手です。
もちろん絵柄も、オチを知った後で見るとこれは伏線だったのか…!
と驚かされます。
短編のこんな少ないページ数でこれだけ考察(と言う名の妄想)が広がるこの漫画は素晴らしいです。
灰色の青春を歩んできた人、現在進行形で灰色な人にオススメです。
灰色の理由がなんとなく掴める…かもしれません。たぶん。
- 感想投稿日 : 2015年2月10日
- 読了日 : 2015年2月10日
- 本棚登録日 : 2015年2月10日
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