戦国小町苦労譚 五、宇佐山の死闘と信長の危機 (アース・スターノベル)

著者 :
  • 泰文堂 (2017年4月15日発売)
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感想 : 6
5

宇佐山城の戦いで、静子軍は表に立って戦う。圧倒的な差の敵軍の淺井・朝倉・比叡山連合軍に、ゲリラ戦や弓部隊を使った戦いで攪乱するが、やがて力で押し切られようとされる。しかし、そこからの戦いが感動的というか、涙なくしては読めない。兵たちの静子に寄せる感謝と期待の気持ちが熱い。本願寺が参戦したり、三好三人衆が四国から戻ってきたり、比叡山、淺井・朝倉勢など、信長包囲網が敷かれ、信長最大の危機であったが、和睦をすることができ(敵は馬鹿だねえ、チャンスを逃したよ)、信長軍は一息をつく。それにしてもねえ、森長可の暴れぶりというか、狂気は凄いねえ。気に食わなければ相手を嬲り殺しにする。信長には寵愛されたようだが。そうそう、父親に追放されて意気消沈の堅物義弟・淺井長政への信長の思いやりは意外だ。
静子は、戦死した兵の残された家族への慰労も怠りなく、紡績工場を拡張して、寡婦たちを雇い入れる。疲れで倒れてしまった静子だが、回復後また精力的に動き出す。じっとしていられない人なのだ。岐阜酒造会社を作って、株式の仕組みを導入したり、ペニシリンを作ったり、マラリア特効薬のクソニンジン抽出液を作ったりする。しかしなあ、静子って何でも知ってるよね。戦いでの胆力も凄いし、やはりスーパーウーマンだね。そうそう、越後の龍が前久のもとに雲水姿でやってきて静子と対面するよ。さあて、これからどう関わって来るのか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史SFファンタジー
感想投稿日 : 2022年6月27日
読了日 : 2022年6月27日
本棚登録日 : 2022年6月27日

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コメント 4件

shukawabestさんのコメント
2022/06/27

shukawabestです。
この作品に対する評価が抜群ですね。レビューを読むだけでも、伝わってきます。心を動かされる様子が。

goya626さんのコメント
2022/06/27

shukawabestさん
コメントありがとうございます。主人公の静子がいい子なんですよ。スーパーウーマンだけど、いわゆる俗欲は無くて、何でも開発してやろう、人の役に立つことをしてやろう、日本をいい国にしていこうという愛が溢れていてねえ。信長が本能寺で死なないんじゃないかという期待もできて、その後のことも楽しみです。

shukawabestさんのコメント
2022/06/27

僕はまだ、goya626さんの本棚を全部観たわけではないですが、続きモノでこれだけgoya626さんの高評価が続く作品、初めて見たような気がします。

goya626さんのコメント
2022/06/28

shukawabestさん
はい、その通りですね。作品のレベルが落ちないのが素晴らしい。しかし、静子が歴史に関わってしまったので、実際の史実と違ってくると思うので、これからの巻が作者の想像力が試されますね。

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