向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2008年7月29日発売)
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❇︎
妹のミカだけを可愛がり、ミチオを嘘つきと
罵り見向きもしない母とカメのように静かな父。

学校にも家にも居場所のないミチオは困った事が
あると、いつも二人に優しい近所のトコ婆ちゃんを
訪ねては、存在を消すように暮らしていた。

前半4分の1はミチオの置かれている状況が
読んでいて苦しくて、速度がだんだん遅くなり
読み切れるか正直不安でした。

S君が現れたところから話は急激に展開するが、
小学生四年生と3歳の妹のやりとりと思えない
会話内容に戸惑いを感じながら、ミチオやS君の
状況の好転を祈るように読み進めました。

ーーー
あらすじ

ミチオは夏休みの前日に学校を休んだ
クラスメイトのS君にプリントと夏の宿題を
届けることになる。

家についたミチオはS君が首を吊って死んで
いるのを発見してしまう。
慌てて学校に戻って報告するが、先生が行くと
S君の死体は消えていた。

とんでもない一夏の物語。


ーーー
S君に何があったのかという疑問と、
ミチオの生活を不憫に感じているうちに、
何?何?という間に、予想以上の斜め方向に
話が展開していきました。

心が狂ってしまうことと、
抗い難い欲求に飲み込まれてしまうこと、
どこまでも自分勝手な選択をしてですら、
生きることが苦しいと感じた物語。





読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年6月6日
読了日 : 2022年6月6日
本棚登録日 : 2022年6月3日

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