建築士・音無薫子の設計ノート 謎(ワケ)あり物件、リノベーションします。 (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社 (2015年12月4日発売)
3.22
  • (4)
  • (22)
  • (42)
  • (3)
  • (5)
本棚登録 : 327
感想 : 34
3

続編があるのだろうと思わせられる作り。
しかし、そうなるためには
もっとこの第1作を作りこむべきだったのでは。

私たち夫婦は 建築士と一緒に一年かけて
新居のデザインをした。
この作品はドラマにこだわるあまりに
住宅設計に大切な要素をおざなりにしている。

そのままにしておく…元に戻す…
意表を衝くプランニングのように聞こえるが
それは設計でも家づくりでもない。

過去にこだわるあまりに
そこにこれから何十年も住む人の
現在とそれに繋がる未来を見る
想像力に欠けている。

古民家の良さや日本式建築の良さは
その機能にこそある。
意匠の価値などは
機能を追求したその涯に
付帯的に生まれたものに
過ぎないのではないだろうか。
百年を超えて在り続ける日本家屋の魅力は
見た目でも郷愁だけでもなく
人の暮らしを支え続ける「力」にこそある。

建築が果たす本来の役割に迫るものを
この物語からは感じられなかった。

当然、謎も謎解きも魅力不足。
作者はもっと建築を学ぶべきだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年12月30日
読了日 : 2015年12月30日
本棚登録日 : 2015年12月22日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする