リアリティ
良作が多いピクサー映画の中でも間違いなくベスト1
5年ぶりに観たけど、全く錆びない!
この作品が優れているのは、
「ネズミ」が“最もやりそうにないこと”(=「料理」)をし、人間の心を動かすからだ。
●ネズミ⇔料理
当然ながら、
人間である私たち観客は、ネズミを不衛生な生き物と考える。
そんな「不潔な生き物」が料理をするという時点で観客は驚くだろう!この時点で十分魅力的な設定だと思う。
しかし、「ネズミによるネズミだけの世界」では従来の作品(虫なら虫だけの、魚なら魚だけの、車なら車だけの世界があり、そこで起こる“ならでは”の要素で笑わせたり、感動させたりする)とほとんど変わらない。
ではこの作品はどこが他の作品と一線を画しているのだろうか、
それは“内輪の殻”を破るという点である。
●人間との交流
ピクサーのフィルモグラフィにおいて、
「リアリティという枠のなかで非人間と人間が心を通わせた」のはこの作品だけだろう。
だからこそこの作品はベストだと言える!!
そりゃ髪の毛を引っ張っただけで人間を自在に操れるわけないけども、この作品には“無理が少ない”。
【例】レミーとリングイニは決して話さない。
(実際に主観が人間の時、レミーの(鳴き)声は「チュウ チュウ」となっている。)
人間との交流というと、
「あれ?んじゃ『トイストーリー』は?」
となる方もいるだろう。
しかし、ウッディたちは決してアンディに正体を明かさない(シドは置いといてw)。
「んじゃ『モンスターズ・インク』のブーは?」
→そもそもモンスターが存在しない。
いままでのピクサー作品にはなかった人間との“ポジティブな”交流が描かれているところがいい。
しかも犬とかありきたりな動物じゃなく、「ネズミ」ってとこがさらにいいよなぁ^^♪
●「リアルなネズミ」レミー
レミーはミッキーではない。
なぜなら、人間に何度も退治されそうになるからだ。
冒頭で老婆にショットガンを発砲され、レストランのシェフたちに何度も殺されかけ、街の人にはビンを投げられる。
そう、劇中の人間(リングイニを除く)からしたらレミーはただの「薄汚いネズミ」なのであり、決して特別扱いされないのである。
この“退治されそうになる”という描写が重要で、
これがあるからこそ観客―とりわけ僕みたいなリアリストでも―は最後まで気持ちが離れずに観ることができるのだと思う。
●仕草や言葉
登場するキャラクターの細やかな仕草に感動する。
印象的なのはビンに入れられたレミーとリングイニが初めてコミュニケーションをとる場面で、この時のレミーの表情とジェスチャーがまさに絶妙!!!
あとは、イーゴの嫌味たっぷりな話し方と表情!
もーたまらない!!
フランス語なまりが存分に利いた英語を聞いてるのも楽しかった♪w
■まとめ
「ネズミ」が最もやらなそうな「料理」をし、
批評家に最も出しそうにない「ラタトゥーユ」で舌を唸らせる。
この“想定外”な要素がこの作品の醍醐味!
それに加えて、
思わず「ククッ」と笑えるようなシーンがあり、
(いかにもディズニーな感じはするけど)感動できるシーンがある。
この映画は間違いない!
- 感想投稿日 : 2011年11月1日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2011年11月1日
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