金田一シリーズって、人間の業炸裂しすぎな有象無象がこれでもかってくらい跋扈するよな〜という思いを読むたび新たにします(褒めてる)。
旧家で権勢を欲しいままにする刀自。
地元有力者である夫と美しすぎる妻。
その周囲に群がり恩恵に預かろうとする人々。
清涼剤ポジションの、若いアベック(古)。
そんな人々を脅かす、肉体的・精神的に「何かが欠損している」人間。
本作の登場人物も、そんなシリーズ読了本のテンプレをしっかり踏襲しています。何とかの一つ覚えかっていうくらい、他作品と代わり映えなさすぎィ(褒めてる。
強いて違いを挙げるなら、いつもより刑事勢がいい味出してるってことでしょうか。その中の1人のベテラン刑事なんて、キャラ立ちすぎてて一瞬疑っちゃったくらいですよ。
かつて悲劇の起こった山奥の山荘・迷路荘に集結した関係者達。ホテルになる前の屋敷の最後の姿を偲び、かつて惨禍に散った命を弔おう…。そんな意図で集まった筈の男女は、しかしかつて結婚相手を奪い奪われ・振り振られという痴情のもつれを経てきた人ばかり。
曰くありげな人々が集い、金田一探偵が現地に到着したその日、果たして第一の惨劇が幕を開けた!!
って感じですかね。
うーん、何てテンプr(略
それにしても、いつもは真犯人に同情の余地を残す金田一シリーズにあって、今作は少ーし異色ですね。いつも少なからぬ憐憫の情を示す金田一探偵が、今回は一顧だに値しないと言わんばかりの素っ気なさで犯人の犯行を推理します。
なーんか今回はイマイチだな〜と終章まで読み進めると、どっこいその後に語られる真相がヤバかった。もうその犯行シーンの絵面の恐ろしさときたら…想像するだに背筋が凍ります。
積年の恨み・妄執の果てを描かせたら、横溝御大の右に出る推理作家はいませんね!(褒めてる
- 感想投稿日 : 2016年6月17日
- 読了日 : 2016年6月17日
- 本棚登録日 : 2016年6月17日
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