父・手塚治虫の素顔 (新潮文庫 て 8-1)

著者 :
  • 新潮社 (2012年3月28日発売)
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感想 : 7
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息子さんである眞氏の著であるエッセイですが、印象に残ったのは、手塚先生がアニメ制作でマンガほどの評価が得られなかった一因に、「手塚治虫が優しい人だったから」という言葉。

手塚先生は元々は完璧主義者。
それはマンガ製作においての逸話を見れば火を見るよりも明らか。
けれど、アニメに関してはマンガよりも多くの人がその製作に関わることになる。
アニメの出来が悪く、ここを修正した方が良いと思っても持ち前の優しい気性が邪魔をしてそこまで厳しく追求できなかった。

話しは変わりますが、ジブリの宮崎駿監督は昔から徹底的な完璧主義者で一緒に製作に関わるアニメーターが苦労をすると言った話を耳にしていた。
宮崎監督には申し訳ないけれど、その厳しさゆえに嫌われているという話しも訊いたことがあった。
それぐらいの強さがなければ世界で認められる作品は作れないということなのかもしれませんね。

気性が邪魔をするということもあるのだなぁとしみじみと感じた。
真氏は子供の頃から手塚先生のアニメ作品も沢山見ていて、解説もしてもらっていたというのが羨ましい(と、言ってもいつも忙しくて帰宅できない父親を持つというのは大変だとは思いますが)
手塚アニメのジャンピングは名作ですよね。
賞を取っているというのも納得。
もっともっと、手塚先生にアニメを作って頂きたかったと思わずにいられません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2012年6月23日
読了日 : 2012年6月23日
本棚登録日 : 2012年6月23日

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