この本は、閉じたあとでも私に寄り添ってくれるものとなるだろう。心を潤す読書とはこのこと。
原題は「花の水をかえましょう」くらいの意味になる。花瓶の水でも、庭に植わっている花にやる水でも、その水をかえましょう、ということ。
草木がただ枯れるときを待つばかりでないように、人も再び咲いたり実をつけたりできる。そのためには新たな水、呼び水が必要だ。
墓地の管理人である美しく優しいヴィオレット。
物語の舞台は主に二つ。
人生の最後に眠る場所である墓地。
そしてヴィオレットの初めての親友が住んでいるマルセイユ。
詩情豊かな庭園と太陽と海のおおらかな街、このコントラストがとてもいい。
文字の向こうに生き生きと像を結ぶ情景。
なによりも墓地がこんなに魅力的な舞台となりえているのが驚きだ。
愛し愛された人が眠る場所が、ただ悲しいばかりのところであってほしくない。
情のあついヴィオレットの手によって墓地は生命力溢れたものになる。
以上、感想途中まで……
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年6月16日
- 読了日 : 2023年6月16日
- 本棚登録日 : 2023年6月16日
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