救命: 東日本大震災、医師たちの奮闘

  • 新潮社 (2011年8月31日発売)
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メモ
P98 我慢強いとか、辛いことがあってもあまり心を表に出さないことをある程度美徳としているようなところが日本人には昔はありました。東北地方は特にその傾向が強く、今もお年寄りには、黙って我慢しながら我慢しきれなくなったら自殺するというようなところが残っています。我慢強い分、それが破綻した時には、極端に反応してしまう。

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P128 医療を維持する人たちって、ほとんどがお金儲けをしようなんて思っていない。

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P151 山形県の歯科医の方々は訓練を繰り返してきたのだと思う。警察医としての意識が高い。何も説明しなくても、速やかに行動をとってくれた。

てんてこ舞いしている中、服装、天気など自分で調べられることまで聞いてくるのはだいたい首都圏に住む方たち。

関西圏の先生方は、決してそんなことは言わない。阪神淡路大震災を経験しているだけに、目に見えない心遣いを感じた。

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P173 災害時には被災地における医療を統制る事が大事。問題なのは、医者自身が統制されるのを嫌うこと。自分の意思で動いてしまう。これをまとめる機能が、医療の世界にはない。

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P178 阪神大震災では外相が多かったのに対し、今回避難所などでは内科的疾患がほとんどだった。災害はそれぞれ被害の形態が異なる。すべてひとつの「災害マニュアル」という形で対応できるのかを再考する必要があるのではないか。

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P237 精神科医が心のケアを始めるという。「何かニーズはありませんか?」と聞かれ「自分も被災者なのに支援や救助活動にまわらなければならない人たちをフォローしてほしい」と話した。すぐにでも始めてほしかった。5月半ばには100人以上の対象者全員が終了した。

P238 「柳に枝折れなし」風が吹けばなびけばいいし、大事なことは幹からもげないこと。

やはり被災者は被災者どうしのなかで癒される

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P248 震災から4カ月。被災地復興は次のステップに入っている。これからは、長くうんざりする不毛の戦いのフェーズに入る。ちょっとした言質をとがめ、誰かを悪者にしたり、功績を独り占めしようとする連中が跋扈(ばっこ)したりもするだろう。

戦いをさらに熾烈なものにするのが、被災しなかった人々の無関心と鈍感さなのだ。

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P249 現地の行政人は「総務省の対応は早い、厚生労働省がサイアク」だという。「それよりもさらにひどいのは財務省だ」と公言する。そうした声は社会に届かない。メディアが官僚批判を報道しないからだ。【批判のない世界は腐ってしまう】

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P250 被災地の状況は刻一刻と変わり、要望もまた時々刻々と変化する。スピードは愛である。

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P252 人は天災で殺される。だが、生き残った人の心を殺すのは、他の人たちの鈍感さである。その鈍感さは、現状維持、という安寧を好む。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 震災・放射能・核
感想投稿日 : 2014年2月22日
読了日 : 2014年2月20日
本棚登録日 : 2014年2月20日

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