もこ もこもこ (ぽっぽライブラリ みるみる絵本)

著者 :
  • 文研出版 (1977年4月25日発売)
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本棚登録 : 7059
感想 : 507
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生後半年ほどして買ってきた一冊。

まだ生まれていないうちに買い揃えた絵本は、子の年齢(てか月齢)にそぐわないものが多く、いったんしまい込まれて数年後まで出番がなかったものばかりでした。
一方で生後は、何よりも子の様子を見て想像していたような「読み聞かせ」は絶対に無理だと理解したことや、「0歳児に」読み聞かせができる絵本の紹介が自治体のパパママ教室などであったこと、そしてEテレ「すくすく子育て」や子育て支援センターなどでの観察の結果などから、「0歳児に」与えるべき絵本が少しわかってきたため、この頃に買ってきた絵本なら読み聞かせができるようになってきました。

これもそんな一冊。
鮮やかな黄色の表紙に大きな判型でとても目立ちます。
子育て支援センターや児童館の絵本コーナーにはほぼ必ず置いてありますし、「すくすく子育て」で見る子育て中のよそのお家のリビングで本当によく見かけます。

単純な線とはっきりした(派手な)色遣いで描かれた絵は、単純化抽象化されすぎて、それだけ見ていては何なのかわかりませんが、「しましまぐるぐる(https://booklog.jp/users/hanemitsuru/archives/1/4052031113)」や「あかあかくろくろ(https://booklog.jp/users/hanemitsuru/archives/1/4052033027)」がそうであるように、視力が未完成の子供にはちょうど良いのかもしれません。
谷川俊太郎の文も、オノマトペ(らしきもの)ばかり。きれいな色と大好きなパパママの声だけで赤ちゃんは満足なのでしょう。
実際に読んでやると、きょとんとした顔をしながら膝の上で聞き入ってくれました。

でも、大人の目でには、ちゃんとストーリーがあって、絵も何かの表象であるように見え(てしまい)ます。弱肉強食の世界と、体の小ささをカバーするために工夫を凝らして生き抜く生き物(植物)を思い浮かべてしまうのです。
(てか、今この時代に読むと、相手の体に取り込まれて体内で増殖して咳やクシャミに乗じて体外に大拡散する某ウィルスを連想してしまいます…)
色と音だけで十分楽しい赤ちゃんほど純粋ではいられないのです…。ああ、汚れてしまった自分…。汚れつちまつた悲しみに今日も小雪の降りかかる。
…そんなことを考える余地があるからこそ45年を超えるロングセラーになっているのかもしれませんね。

ちなみに、谷川俊太郎さんご本人の読み聞かせがyoutubeにあります。
https://www.youtube.com/watch?v=n_B8iJXNbbM

※「読み聞かせ」については、「声色を使わない」「抑揚をつけない」のが正しいという主張をとてもよく見かけます。
https://select.mamastar.jp/82907
https://benesse.jp/kosodate/202105/20210520-2.html
「読み聞かせの主役は読み手ではなく、絵本です。自然な声で、子どもと一緒に物語を楽しみながら読みましょう」なんて言われて、なんだかもやもやすることが多かったのですが、これ見てすっきりしました。
声色も、大袈裟な抑揚もつけまくりです。
てか、この本ってこれ以外に読み聞かせようがないと思いませんか…?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 児童書
感想投稿日 : 2022年1月17日
読了日 : 2022年1月17日
本棚登録日 : 2014年10月11日

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