100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2011年5月28日発売)
3.78
  • (47)
  • (95)
  • (67)
  • (13)
  • (1)
本棚登録 : 742
感想 : 90
3

ポアンカレ予想が解決されたというインパクトは、フェルマーの最終定理が証明されたのと同等の衝撃的なインパクトがあった。

もちろん、私は数学の門外漢であるがゆえに、ポアンカレ予想もフェルマーの最終定理もその深淵を知る術がない。ただ、多くの偉大な数学者が挑み続けて挫折したという壮大なドラマが、証明に至る困難さを物語っている。      

さて、フェルマーの最終定理に至る道のりには、様々なドラマがあった。そして、そこには日本人数学者たちの貢献が光る。岩沢理論を始め、何と言ってモジュラーと楕円曲線に橋渡しをした谷山・志村予想。そして、若くして自ら命を絶った谷山と、その後を引き継いだ志村の友情など、多くの逸話が残されている。    

一方で、ポアンカレ予想も、フェルマーの最終定理に負けず劣らずの逸話を数多く残している。第一、証明に成功したペレルマンがすべての名誉を投げ捨てて世捨て人同様の生活に籠ってしまったこと自体が驚きだ。   

本書では、残念ながら最後までペレルマンに出会う機会はなかった。ただ、ペレルマンが次なる大問題の解決に向けて研究に入ったことが示唆されている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自然科学
感想投稿日 : 2012年4月26日
読了日 : 2012年4月26日
本棚登録日 : 2012年4月26日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする