ぶらんこ乗り (新潮文庫)

  • 新潮社 (2004年7月28日発売)
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感想 : 927
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いしいしんじの「ぶらんこ乗り」。言葉っていうのは世界とつながるためのツールなんだなーと改めて。声を失った弟は、世界と関わる術を失いかけて、けれど自分が存在する術を物語に託した。あっち側の引力に逆らって、物語を通じて手を差し伸べて、それを姉は無意識のうちに掬い上げていた。
後半につれて、姉があっち側に引き込まれそうになっていく。それを今度は弟が物語で掬い上げる。姉弟はまるで二つのぶらんこのように近づいては離れてを繰り返して、それでも物語を通じて一瞬一瞬、いのちがけで手を繋いでいた。最期には大きく振れて離れていたぶらんこが近づいて行って!何というか!すごいやさしくて素敵な文章にぐっと引っ張られていつのまにか読み終わってたのでありました。弟の作る話ぜんぶぐっときてしみるけど「手を握ろう!」がいっとう好き。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年6月7日
読了日 : 2014年6月7日
本棚登録日 : 2014年6月4日

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