akikobbさん、111108さんにおすすめしていただいて。
面白かった!
字が小さい文庫しかないんだよなあと敬遠していた作品だったけれど、文字サイズなんて読み始めてすぐ気にならなくなった。
とにかく猫のリリーが気まぐれさも含めて可愛く、いじらしく、翻弄されてしまうのも無理ないと思うほど。
キュートでワガママな女(今回の場合は主に雌猫)に振り回されたいという谷崎先生のフェチが、本作でも詰め込まれている。
品子も庄造も、人間のごたごたのせいでリリーを振り回してしまっているのをかわいそうに思ううちに、「誰にもまして可哀そうなのは自分ではないか」という思いに駆られるように、猫と比べて人間の滑稽さが際立つ。
特に庄造。ラストシーン、2人の女から逃げ回って、なんとか猫に遊んでもらおうとする姿は情けなすぎるけれど愛すべき腰抜けという感じで、おすすめいただいた時の「庄造はある意味可愛い」というセリフの意味がわかった(笑)
こういう男に執着しちゃう2人の女の気持ちも分かる。
情念に翻弄される卑俗な姿こそが、人間らしさなのかもしれない。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年8月31日
- 読了日 : 2022年8月31日
- 本棚登録日 : 2022年8月31日
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コメント 3件
111108さんのコメント
2022/08/31
akikobbさんのコメント
2022/09/01
ロッキーさんのコメント
2022/09/01