日本会議の研究 (扶桑社新書)

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  • 扶桑社 (2016年4月30日発売)
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 日本会議の源流として、全共闘運動が激しかったころ長崎大の民族派学生が学園紛争からキャンパスを正常化した運動があるのは興味深かった。背後に生長の家が母体としてあり、椛島有三が議長だったという。若き日の鈴木邦夫も早稲田大で生長の家の民族派として活動していたが、こちらは武闘派で、ゲバ棒と渡り合った。結局、長崎大系の安東らに学生組織の権力の座を追われていく。生長の家は「出版宗教」と異名を取り、数々の出版物を出していた。谷口雅春の言葉は今でも原理主義者がいるようだ。生長の家は1983年に政治活動をやめるが、今も影響を残している。
 日本会議は、神社本庁のほか、霊友会や崇教真光など新興宗教も協賛。活発な地方議会への請願活動、立候補予定者への思想アンケートなど、かつての左翼運動が得意とした手法で政策実現を図っているという。
 参議院の法王と呼ばれ、戦後50年決議の戦争責任の箇所に最後まで抵抗した村上正邦への取材は面白かった。逆にそれ以外の日本会議メンバーには、あまり直接取材ができなかったのか、資料に頼った記述が多かったのは惜しむべき点か。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 行政
感想投稿日 : 2019年1月11日
読了日 : 2019年1月10日
本棚登録日 : 2019年1月10日

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