世代によって現実の見え方が異なることを身に染み込まされる体験だった。終盤の労組の話は本筋ではないが(最早本筋とは何かという話だが)特に良かった。
膨大な手紙と語りの中でほぼ同化したかのように錯覚する母子だが、手紙の中では語られないこともある。訥々と半生を書き綴る晴子とそれを受け取り悶々とする彰之。福澤のシリーズを読むのはこれが一作目なので、また読み進めると見えてくる地平があるのだろうか。
自分が、分からないこと自体を忘れ、分からなくなっていたことを思い出した読書だった。
次は「新リア王」を読む。楽しみだなあ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2018年11月3日
- 読了日 : 2018年11月3日
- 本棚登録日 : 2018年10月20日
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