謝罪大国ニッポン (星海社新書)

著者 :
  • 星海社 (2016年8月26日発売)
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本棚登録 : 82
感想 : 9
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 謝罪ってか普通に中川淳一郎さんの軽妙なるおもしろ文章と広告代理店や芸能人の裏側やいろんな失敗談のトリビアを読む本。丸刈りエピソードが良かった。
 芸能人の最終目的はCMで、CMがいかに美味しいか、ダンディ坂野ってめちゃくちゃ金持ちだろうなとかがわかる。
「謝罪道」のカギは「実績」「見た目」「所作」がセットになっているという。スマップの「公開処刑」とかは、スマップに謝罪させた側がまったくファンの気持ちを分かっていなかったことがわかる。
 最終的に大事なのは、やらかしてしまった場合、相手がどのように考えているかを予測し、極力その怒りを収める方法を考えるということであるという。謝罪相手をそれ以上困らせない最良の手段が何かを、相手と共に考えることが重要である。
 しかし、謝罪とは難しいものである。上司がとある著作権侵害をしたのだが、ものすごく軽く見ていて、あとでじわじわ大変なことがわかる。ある物事は人によって全く異なる。上司を止められなかった事務員としては、悔やんでも悔やみきれない出来事だった。「これまずいんじゃない?」と事務員は思うわけだけれども、上司を止めることはできない。ならば、ダメージを受ける側に電話をかけて、「こんなことしようと思ってるんですけど、大丈夫でしょうかねえ?」と相手の事務方に問い合わせればよかったのだ。事務員とは、物事をさっさと済ませて家に帰ることが最優先なので、「いやーだめでしょうね」とたいていは怒らずに、苦笑いしながら判定を下してくれる。
 スマップの場合も「この謝罪内容はだめだろう。何考えてるんだ」と事務方はみな思ったはずだが、この謝罪指示を出した人間には逆らえない。もし、事務員が考えている通りにスマップが動いたら、こんなごたごたせずに、ふわーっと解散していたと思う。
 あと、謝るのは難しくて、「どこまで謝ればいいのか」「謝らなくても大丈夫ではないか」が、直後には本当にわからない。謝るのは確かに悔しいし恥ずかしいしつらいが、それをすることで「自分がどうなるかわからない」というのが謝罪を難しくさせているので、初動が遅くなるのだ。できるだけ信頼できる立会人のもと、相手と一刻もはやく対話しにいく手配、が事務員にとって大事だろうと思う。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 星海社新書
感想投稿日 : 2017年2月23日
本棚登録日 : 2017年2月23日

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