NMDA脳炎の闘病記。
2005年に症候群として発表され、2007年にNMDA受容体に対する自己免疫がその原因として特定されたばかりの病気。著者が発症したのが2009年で、テラトーマもなかったことを考え合わせると、発症したのはともかくとして、その後の経過はかなり幸運なものだったといえるだろう。
新聞記者だそうだが、文章は特にこなれていないし、NMDA脳炎についての記載は自身でも消化不良なのでは、と思わせる内容なので、一般的な読み物としてはやや難が多い。NMDA受容体は海馬に特に多いため、記憶の錯誤などの症状が起こりやすいというのは納得。
かつて野口英世が分裂病と診断されている者の一部に進行麻痺が含まれていることを示したように、現代の精神医学で統合失調症と診断されている者の中にこうした自己免疫性疾患の者が含まれているのだろうか?国内にも推定1000例以上はいる、とされているようだし、その比率が0.01%だとしても適切な診断・治療が施されずに統合失調症として放置されているのであれば多すぎるだろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
精神医学
- 感想投稿日 : 2014年9月28日
- 読了日 : 2014年9月8日
- 本棚登録日 : 2014年9月8日
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