最悪 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2002年9月15日発売)
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本棚登録 : 208
感想 : 17
3

奥田英朗は「伊良部シリーズ」以来。なんで手に取ったか忘れたのだが、多分、Amazon のセールか何かだと思う。しかし、この手の転落ものなら、ダグラス・ケネディを読み返した方が良かった。

周辺住民とのトラブルに巻き込まれつつ日々の仕事を懸命にこなす町工場の社長、名古屋の実家はとっくに崩壊し、川崎に出てきてカツアゲとパチンコの膿んだ日々を過ごす20歳の男、家では妹がグレていて、仕事ではセクハラを受けた上に行内政治のダシにされる銀行OL。3人の人生模様が、転落しつつ徐々に絡み合い、ついにクライマックスで完全に合流する。まあ、よくある構成といえばよくある構成だが、さすがのストリーテラーぶりで一気に読ませる。しかし、話が長い割にはカタルシスがイマイチな印象で、支店長や玉井課長、マンションの隣人太田(これがまた嫌な奴なのだ)、下っ端ヤクザの山崎やタカオといった登場人物にはもう少しふさわしい結末を用意して欲しかった。特に柴田老人の使い方は、もっとみどりの悲惨さを演出できただろうに、もったいない。ラストもどっち付かずで中途半端。もちろん、そこが作品の狙いというところもあるのだろうが、読後はスッキリしたいものだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2015年12月22日
読了日 : 2015年12月22日
本棚登録日 : 2015年12月22日

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