アメリカ黒人の歴史:自由と平和への長い道のり (「知の再発見」双書)

  • 創元社 (2010年10月28日発売)
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 アメリカとフランスの黒人の歴史が専門の著者による、南北戦争後からオバマが大統領になるまでの歴史。当時の写真や資料をふんだんに使って、黒人の苦難の歴史を解説している。
 具体的な記述が多く、有名な事件なのに知らないことがあって、面白かった。例えばバーミングハムの暴動(1963)は知っているし、高圧放水器が使われた映像も見たことがあったが、それが「1平方センチメートルあたり50キロもの水圧がかかる」(p.96)ということは知らなかったし、メキシコシティオリンピック(1968)の、黒い手袋をして手を挙げて表彰台に立つ2人の黒人の写真は有名だが、「左端に立っているオーストラリア人ピーター・ノーマンも、彼らを支持するバッジをつけている。」(p.106)とか、「国際オリンピック委員会は彼らをオリンピックから追放した」(同)という事実は知らなかった。他にも「骨相学者J・C・ノットの論文に掲載されている図版」(p.41)が載っており、ナチス時代の優生学の研究と似てるなあ、と思った。「リンチの『罪名』や『処刑方法』」の統計(p.42)というのも興味深い。
 個別的な事例を色々見るのは興味深いが、写真や資料のインパクトが強いせいか、全体的な流れが頭に入りづらい印象がある。最後に見開きでアメリカ黒人史の年表があるのが救い。あと資料としてブッカー・T・ワシントンやW・E・B・デュボイス、M・L・キングやマルコムXの演説文や書簡が載っているのも役に立った。(16/08/25)
 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2016年8月25日
読了日 : 2016年8月25日
本棚登録日 : 2016年8月25日

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