リテリングを活用した英語指導—理解した内容を自分の言葉で発信する

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  • 大修館書店 (2020年8月24日発売)
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 高校で「読んだり、聞いたりしたことを、何らかの補助的なメモ等を見ながら、第3者に伝える活動」である「リテリング」の活動をするために、どんな準備をさせるか、リテリングの種類、バリエーション、評価の仕方、どんな効果があるのかの調査結果をまとめたもの。実際のレベルの違う複数の教科書のレッスンと、どのように活動を行うのかという例が豊富に紹介されている。また、結果として様々な音読活動の方法や、アクティブラーニング的な手法などを知ることができる。
 まず高校なので、今この瞬間に中1を教えている自分には、まだそんなに使えそうにないかなあと思った。もちろん今後のためにはなったけど。あと、結構おれもリテリングやるんだけど、わりと「リプロダクション」になっていて、本当の意味でのアウトプットになってないんだなあと、改めて思った。「むしろ、文字を見ない音読と呼べるかもしれません」(p.7)というのは、正直衝撃だった。そりゃあ、そうだよなあ。生徒は英語だけで長いプレゼンをしているように見えるけど、結局覚えたことを吐き出しているだけなんだしなあ、という。そういう意味でも、これからは段階的にp.8の「アウトプットII」、「アウトプットIII」までいけるように、さらに「毎レッスンのゴールをアウトプットIIであるリテリングに留めずに、即興型の自己表現活動であるアウトプットIIIを定期的に取り入れてトライさせる」(p.116)ということをやりたい。
 ただ、どうしてもひっかかるのは、リテリングをやるということになると、結果的に自然に教科書通りでない表現になる場合(例えばレッスンが終わって数ヶ月後に、アウトプットをさせて、だいたいの内容しか覚えていない状態でやるとか。金谷先生の「山形スピークアウト方式」とかはそんな感じなんだったっけ? あるいは膨大な内容を要約する場合)は、真のリテリングになるんだけど、話す内容は意外と限られているのをわざわざパラフレーズさせる、という第5章の部分が、なんか変じゃないのかと思った。態を変えたら不自然になる場合もあるし、語彙をただ他の類義語に交換するというのも危険だし、パラフレーズする必然性も感じにくいし、ということで、第5章のあたりはわりとモヤモヤしながら読んでしまった。けど、リプロダクションになったとしても、p.84の「高度なリテリング」にあるものを盛り込んで、一応のアウトプットをさせるというのはできるかなと思った。あと「ゲーミフィケーション」(p.122)っていう言葉を初めて聞いた。そしたら中学校の英語の授業なんてほとんどゲーミフィケーションなんじゃないかとすら思ってしまう。(21/06/27)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年6月30日
読了日 : 2021年6月30日
本棚登録日 : 2021年6月30日

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