生まれる森 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2007年5月15日発売)
3.38
  • (43)
  • (124)
  • (255)
  • (29)
  • (5)
本棚登録 : 1253
感想 : 124
4

ナラタージュには及ばないものの、その素地となる部分は似通ったやるせない恋愛が描かれている。
登場人物たちの心の動きが、昇華されていない分逆にわたしにはわかりやすかった。
いつもこの人の言葉は水のように、液体のようにゆっくりと胸を浸す。

「わたしはあの人に幸せになってもらいたかったんです。眠る前に新しい朝が来ることを楽しみに思うような、そんなふうになってもらいたかった。けど、わたしには無理だった」(p123)

個人的にはこの台詞のあたりのくだりが大好きです。
この人の書く恋愛小説のなかに、哀しいほどにわかりあえず共に生きていけない人々の姿をみるたび、わたしはどこか安堵してしまう。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2008年5月8日
本棚登録日 : 2008年5月8日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする