ナラタージュには及ばないものの、その素地となる部分は似通ったやるせない恋愛が描かれている。
登場人物たちの心の動きが、昇華されていない分逆にわたしにはわかりやすかった。
いつもこの人の言葉は水のように、液体のようにゆっくりと胸を浸す。
「わたしはあの人に幸せになってもらいたかったんです。眠る前に新しい朝が来ることを楽しみに思うような、そんなふうになってもらいたかった。けど、わたしには無理だった」(p123)
個人的にはこの台詞のあたりのくだりが大好きです。
この人の書く恋愛小説のなかに、哀しいほどにわかりあえず共に生きていけない人々の姿をみるたび、わたしはどこか安堵してしまう。
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- 感想投稿日 : 2008年5月8日
- 本棚登録日 : 2008年5月8日
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