出世花 (祥伝社文庫) (祥伝社文庫 た 28-1)

著者 :
  • 祥伝社 (2008年6月12日発売)
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幼い娘を連れ、妻敵討ちの旅に出るも果たせずに力尽きた源九郎。

父を亡くしたお艶は正真住職にお縁という新しい名をいただき、墓寺として遺体の湯灌や火葬を行う青泉寺にその身を寄せることとなった・・・。

正真・正念と、三太・仁平・市次ら毛坊主とともに過ごすうち、最期を安らかに送り出す青泉寺の仕事に光を見出すお縁。

時に「屍洗い」と蔑まれながらも、そのまなざしは真っ直ぐでゆるがない。
娘盛りなのに「おくりびと」として生きていく彼女の強さに胸打たれる。

出世花、落合蛍、偽り時雨、見送り坂暮色・・・どれもせつない。
自分以外の誰かのために必死になれる強く優しい人が、その優しさゆえに黙って重荷を背負い込んでしまうのがやるせないなぁ。

職業の貴賎よりも人間中身だよ、ほんと。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 人生論。
感想投稿日 : 2012年12月11日
読了日 : 2012年12月11日
本棚登録日 : 2012年12月11日

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