900ページ越えの分厚い物語は、高名なピアニストが演奏のために町に着いたところから始まる。出会った人々から次々と持ち込まれる奇妙な依頼に振り回され続ける物語。ドアを開けると全く別の空間に繋がっていたり、人の記憶が自分の記憶にすり替わっていたり、突然に生み出される過去の重大な記憶など時系列も不安定で、状況を捉えにくい。はじめはとても読みにくかったが、すぐにこれは夢の中なのだと気付き、不穏な空気に溢れる不思議な世界を堪能しました。巻き込まれたできごとの周りでの悪戦苦闘が延々と続き、何かがスッキリと解決する場面は一つもなく、もちろんハッピーエンドとかバットエンドとか単純に括れず、捉え方によっては悪夢とも言えなくはないが、それでもほのかな未来への希望が感じられる小説でした。夢の中も現実の人生も同じようなものなのも。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2023年3月16日
- 読了日 : 2023年3月15日
- 本棚登録日 : 2023年3月16日
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