公理に基づく幾何学の体系の雛型である『原論』は,言い回しが今流ではないので読みにくい。翻訳上の問題もあるし,そもそも原典が失われてしまっている。私はしばらく前に「対頂角は等しい」という命題が何を言いたいのか(仮定と結論は何なのか)がわからなくなったこともあり,この本を手に取った。表現を咀嚼しながら公理的構成の一端を紹介してくれている。『原論』が扱っているのは実は幾何だけではなく,比や整数,体積についての言及もあり,この辺りについてもそのスタイルを誤魔化さずに見せている。完全数(自身を除く約数の和がその数自身に等しい自然数。6,28など)の条件を古代ギリシア人はすでに見抜いていたというのに驚かされた。なお,対頂角云々については現在の定義を訂正するべきなのだろうと考えています。
読書状況:読み終わった
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本・雑誌
- 感想投稿日 : 2019年3月26日
- 読了日 : 2016年11月8日
- 本棚登録日 : 2018年10月8日
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