ローマ人の物語 (19) 悪名高き皇帝たち(3) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2005年8月28日発売)
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本棚登録 : 1217
感想 : 87
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 第四代皇帝のクラウディウスの物語です。カリグラ暗殺により,50歳で予期せぬ帝位に就いたクラウディウスですが,13年の治世では,その職務をきちんと全うし,カリグラの統治で失われた分を十分に取り返し,パクス・ロマーナを継続,発展させた統治でした。クラウディウス帝のように,着実に責務を果たしていくのは,心身の消耗を伴うもので,職務に対する強い責任と自覚がないと果たせないと思います。こういう生き方ができた人には,敬意を持ちます。
 皇帝就任まで,世間から注目されず,敬意を持たれたことがなかったことから,妻にはいいように使われたクラウディウス帝は,再婚相手の小アグリッピーナの野望の犠牲になり,その死の後は,彼女の息子に帝位がうつることになります。彼女の息子は悪帝の代名詞にもなる,ローマ史上で最も有名な人物になりますが,彼の治世の話は,次の巻で物語られることになります。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 塩野七生
感想投稿日 : 2014年1月15日
読了日 : 2014年1月15日
本棚登録日 : 2014年1月12日

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