ざっくり言えば本書は、力学史。だからいちいちの記述に新たな発掘的な内容はない。
ただし、著者の専門が脳科学と言語学だからか、深い認識論が最終講で語られ、旧来の力学史とは一線を画している。
つまり、科学という考え方の追求が、カント的な意味で、認識の限界を探ることに通じることを、力学を通して示唆していることが興味深い。
また、本書の特徴として、
・科学者の原典が多く引用されていて、骨太で読み応えがある。
・適宜、差し挟まれる問題が、単なる読書から思考モードに切り替えるきっかけとなっており、そこが教育的。
の2点が挙げられる。
数式を使ってもらった方が分かりやすい部分(ウエブナー=フェヒナーの法則など)もあったが、概して良書だと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
本<物理学>
- 感想投稿日 : 2016年7月21日
- 読了日 : 2016年7月21日
- 本棚登録日 : 2016年7月21日
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