バージニア・リー・バートンの作品は、まず絵が素晴らしい。画面の隅々まで躍動感をはじめとする情感がみなぎっている。言葉が多少分からなくても、絵を見ながら、いくらでも物語を想像することが出来る。本作は、見返しのカラーのページも素敵でした。これだけで額に飾っておきたいくらい。
さて、物語ですが、私が20年前の大学生時代に、これを読んだときは、なんて道徳的で薄っぺらな内容なんだと低い評価しかできませんでした。
しかし、今は違います。人は誰でも、一度は自分勝手に生きてみることが必要だということ。それを通して、一つ一つ積み上げていく日常がなにより尊く思えることを描いた作品だと思うからです。冒険や失敗のない人生は、何かが欠けています。そして、なにより、冒険や失敗をしても、自分を待っていてくれる人がいるという事実を知ることは何にもまして大切なことでしょう。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
絵本・児童書
- 感想投稿日 : 2012年3月9日
- 読了日 : 2009年6月10日
- 本棚登録日 : 2012年3月9日
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