生き方についての343の知恵 行動することが生きることである (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (1993年10月20日発売)
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本棚登録 : 887
感想 : 94
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1.著者;宇野さんは小説家・随筆家。編集者・着物デザイナー・実業家でもあった。1921年、懸賞小説に「脂粉の顔」が一等当選し、作家デビュー。1936年にファッション雑誌「スタイル」創刊。1980年代から、女性向けの恋愛・幸福・長寿等のエッセイを多く執筆。「おはん」で野間文芸賞・「幸福」で女流文学賞・・等を受賞。多くの著名人との恋愛・結婚歴があり、波乱に富んだ98歳の長寿を全うした。
2.本書;宇野さんの人生観を、着飾らなく素直な気持ちで語ったエッセイ。8章・45項の構成。「第1章;人生は行動である 第2章;幸福をはりめぐらせて生きる・・・第7章;暮らし上手は生き上手 第8章;人は死ぬまで現役」。最終項で、「老後の心配と言うものは、充実した生活にはない、私は自分がやがては死んで行くと思ったことが一度もない、80歳でもまだまだ生活の途中である」という。強靭な精神力を持った女性だったと思います。
3.個別感想(心に残った記述を3点に絞り込み、感想と共に記述);
(1)『“第1章;人生は行動である”の中の、「困難な事には自分の方から進んで這入っていく、すると道は開ける」』より、「或る困難な事態に出会うことがあると、本能的に、その困難を打開してみたい。・・私は、何か困る事があって、それを少しずつ直していくのが好きである。・・人間というものは、一旦覚悟を決めたとなると、どんなことでも出来るものです」
●感想⇒宇野さんは前向きで、強い意志の持ち主。羨ましい性格ですね。私事です。祖父は、ある期間、船員で世界を駆け巡っていました。私は子供の頃に、当時の話をよく聞かされました。「航海生活は困難な出来事の連続だった」。先端的な電子機器も少なく、「経験がものをいう生活で大変だった」と述懐していました。祖父に言われました。「困った事、困難な事があっても逃げない事、そうすれば、救いの神が現れるものだ」と。私は、困難な事態に直面した時、逃げずによく考えて行動する事の大切さ学びました。但し、物理的に危害を被るような時には退散という術も身につけなければなりません。どんな時でも、臨機応変に真正面からぶつかる位の気概を持ちたいものです。
(2)『“第2章;幸福をはりめぐらせて生きる”の中の、「精神を積極的に保つコツ」』より、「謙遜は美徳ではなくて悪徳である。人の持っている良い芽は決して摘み取るものではなく、伸ばすことが大切である。芽は手当て次第でどんどん伸びる。伸びないなどとは、夢にも思ってはならない。伸びる、伸びる、どんどん伸びる」
●感想⇒ニュアンスが少し違うかもしれません。万能選手はそれほどいないと思います。人には“強みと弱み”或いは“長所と短所”があります。私は、強み・長所を伸ばせば良いと考えます。弱みの克服は、強みの発揮に比べ難しいと思います。試験を例にとれば、苦手科目は平均点を目指し、得意科目は高得点を狙うのです。私も色々な試験の際、得意科目を重点に勉強しました。まずまずの成果があがりました。偏った勉強を勧めているのではありません。すべての事に精力を注ぐのが理想ですが、例えば、子供に苦手な科目よりも、得意科目を楽しく学ばせるのも良いと考えます。好きこそ物の上手なれ。強みを伸ばせば、自信に繋がるでしょう。但し、弱みの補強は、人並みを目指しましょう。
(3)『“第8章;人は死ぬまで現役”の中の、「心に張りのある人間はボケない」』より、「心に張りがあると、人間という者は、死ぬまで、ボケるものではありません。私の言う事は、あなたにとっては、少し大袈裟過ぎるかもしれませんが、ボケを防ぐには、たった一つ、この方法があるだけなのです」
●感想⇒ボケ防止だけでなく、心に張りがある人は活き活きしています。仕草さや会話に現れます。精神が充実していないと、後ろ向きになり、どんなことも悪く考えがちです。物事に失敗した時など、原因をあれこれ考え、悩み落ち込みます。心に張りがあると、原因よりも次に何をすれば良いかを考え、行動します。顔つきを見ればわかります。心に張りも持つ条件は、まず“健全なる精神は健全なる身体に宿る”です。体の健康に留意し、豊かな心を作る為に、読書等で疑似体験と先人に学び、思考の幅を広げましょう。それが心に張りを作る第一歩だと考えます。
4.まとめ;宇野さんは、本書で最初に「考える前に、体を動かすこと」と言っています。私は、「行動する前に十分考える事が重要だ」と、教えられました。結果は、考え過ぎて中々行動出来ず、過ちを犯したこともあります。その時の教訓は、時と場合により「思考と行動の順序」を使い分けなければいけないです。まとめです。本書には宇野さんの生き方がギッシリと詰まっています。私達に生きて行動する事の大切さとヒントを与えてくれます。しかし、人間は生を受けてこの方、生い立ちや生活環境が違います。従って、先人の生き方を参考にしつつも、自分流の生き方が最も幸福と思います。暗中模索しながらでも、自分流を構築したいですね。(以上)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年6月3日
読了日 : 2022年4月10日
本棚登録日 : 2022年4月10日

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コメント 2件

koshoujiさんのコメント
2022/09/24

早速の返信コメントありがとうございます。
私も宇野さんに負けずに、これからの人生、様々なことにチャレンジしてから死んでいく予定(笑)ですので、YouTuberも頑張ります。(^^)/

およそ、人間として生まれてきた以上、世界中の美しい風景や絶景、素敵な建築物、芸術などを知らずに死にたくはない。
と思っております。

そして、その素晴らしさを私のチャンネルを通して日本中、世界中の方々に知ってもらえる新しいチャンネルにすべく、日本国内の場所やホテルの動画はもうじき公開する予定です。

ご期待くださいませ。<(_ _)>

ダイちゃんさんのコメント
2022/09/24

コメント有難うございます。コロナで、海外旅行を我慢しています。最近はもっぱらテレビの旅行番組を見て、旅行した気分になっています。行動力に期待。

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