死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎 (2017年7月28日発売)
3.48
  • (120)
  • (251)
  • (283)
  • (76)
  • (26)
本棚登録 : 2806
感想 : 347
4

1.著者;丹羽氏は、大学卒業後に伊藤忠商事に入社。社長になった時に、約4,000億円の不良債権を処理し、業績をV字回復させた同社の救世主。国際連合世界食糧計画協会会長などを歴任し、民間出身で初めて駐中国大使を勤めた人。「負けてたまるか!若者のための仕事論」「人間の本性」「会社はだれのために」など、著書多数。
2.本書;氏の読書哲学(=思考力の源泉は読書)を書き綴った本です。 それは、「読書は、“考える力・想像する力・無尽蔵の知識や知恵”を与えてくれ、生きる力を培ってくれる」です。6章立てで、「第1章;本に代わるものはない 第2章;どんな本を読めばいいのか 第3章;頭を使う読書の効用 第4章;本を読まない日はない 第5章;読書の真価は生き方に表れる 第6章;本の底力」です。
3.個別感想(気に留めた記述を3点に絞り込み、私の感想と共に記述);
(1)第1章の中の『何が教養を磨くのか』より、「私が考える教養の条件は、“自分が知らないということを知っている事”と、“相手の立場になって物事が考えられる事”の2つです。有名大学を出てたくさん知識を持っている人が、必ずしも教養人とう訳ではない」
●感想⇒昔、友人達数人で、教養人について議論したことがあり、ノートにメモが残っていました。「教養人とは、広い知識をベースに持ち、バランスの取れた精神構造の持ち主、豊かな心の持ち主、経験豊かな感性を日常生活に活かしている人」とあります。著者の考える教養とは違うかもしれませんが、私達のいう教養にも、本書の「知らないを知る」と「相手の立場に立つ」はベースとなる心構えです。宮本武蔵(小説)で著名な吉川さんの「会う人みな師匠」という言葉を想起します。ちなみに、私が尊敬する人間像の3つのキーワードは、“①謙虚・誠実 ②感謝・慈しみ ③合理的思考”です。
(2)第4章の中の『頭に残るノート活用術』より、「本を読んでいて心に引っかかってくる箇所、印象的な言葉や興味深いデータについては、線を引いたり、付箋を貼ったり、余白にメモをとったりします。そして読み終えた後に、もう一度傍線を引いた箇所やメモを読み返す。その中から“これは重要だ” “覚えておかなくては”と思ったものをノートに書き写します」
●感想⇒私は、読書を始めた頃は、キチンとノートに感想を書いていました。今はノートを取りません。書いても読み返す事が少ないので時間節約です。その代り蛍光ペンで気に入った箇所に線引きします。読後に、引いた線が10~20箇所になります。その中から、3~5箇所に絞り込んで、印象をキーワード化し、最後に備忘録としてPCに蓄積します。月に一回程度読み返して、確認と整理をしています。読書に定番は無いので、色々な方法を試行錯誤し、自分に合ったやり方を探せばよいでしょう。読書は記録する事よりも、楽しみ学ぶ事が大切なのです。
(3)第4章の中の『頭に残るノート活用術』より、「沢山の経験を積んで、沢山の本を読む。時間をかけて(心の)シワを沢山作ってきた人はシワの数だけより深い人生を生きられる。そうやって心のシワを増やすことは何物にも代えがたい喜びだと思います」
●感想⇒会社に入った頃、上司に企画書を見てもらった時に言われました。「君の頭脳構造は浜辺に盛った砂山と同じだ。波が寄せてくると砂山がきれいに元の浜辺に戻ってしまう。何も残らないのだ。心のひだ(シワ)を沢山作らなければいけない。読書と経験に尽きる」。上司は読書家でした。これを機会に読書の有用性を自覚し、「負けてたまるか」と本を読み漁りました。上司が陰ながら褒めていたと聞いて、大変うれしく思いました。読書は疑似体験ですが、経験を補うのによい手段です。時折、上司を思い出し、感謝の念に堪えません。
4.まとめ;新聞の書評を見て、本書を買って読みました。正直に言えばそれ程、目新しさのある本ではありません。しかし、著者は人生の大先輩であり、読んでみると含蓄ある言葉が幾つもあります。前述の3点以外にも、“小説で考える力を養う、読書は心を自由にする・・・等”です。しかし、私と考え方が異なる点もあります。例えば、「ハウツー本は読まない、読書は即効性を求めても意味のないものが多い」という点です。これは、リタイアした人には当てはまると思いますが、現役にはやや無理があります。私の考える読書の目的は、①自分の生きる人間形成作り ②社会情勢の収集 ③仕事のプロを目指す専門知識 の3点です。従って、ハウツー本が必要な時期があります。ライフステージに合わせて、3つの目的に強弱をつければよいと考えます。いずれにしろ、読書は自由な想像活動なので、自分なりの読書スタイルを楽しみたいものです。蛇足かもしれませんが、宇野氏は本書の印税を“中国から日本に来る私費留学生への奨学金に寄付する”という事を付加えておきます。(以上)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年10月23日
読了日 : 2021年9月28日
本棚登録日 : 2021年9月28日

みんなの感想をみる

コメント 2件

文月の十三夜さんのコメント
2022/03/07

私も読んでみることにします。

ダイちゃんさんのコメント
2022/03/08

ダイです。文月の十三夜さん、いいねサイン&コメントして頂き、ありがとうございます。コンビニ人間等のレビューを読ませてもらっています。よろしくお願いします。

ツイートする