僕の神さま

著者 :
  • KADOKAWA (2020年8月19日発売)
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本棚登録 : 1247
感想 : 130
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主人公の「僕」の同級生には、「神さま」というニックネームを持つ水谷くんという少年がいる。彼はどんな謎も紐解き、だれからも頼りにされている。もちろん、「僕」もその例外ではない――そんな彼らの一年間のエピソードをつづった連作短編集です。

どこかほのぼのとした出だしから、やがてぐっとアクセルを踏み込むように状況の深みが増し、小学生には重すぎる事実が立ちはだかっていきます。そうして彼らはどうするか――その選択を、決断を手放しに誉めることはできません。

「神さま」の選択としてなら、きっと正しく「冴えたやり方」だったとなるのでしょう。ただ、神さまと他社から称される少年もただの一人の子どもであるのは終盤の彼自身の台詞で少し読み取れます。けれど描写上彼の内面には踏み込んでいない、あるいはあえて踏み込ませていないので、神さまとされている水谷くん自身の苦渋がどの程度かわかりません。そのため、彼が抱えざるをえない責任の重さを思うと、じりじりとした感覚に囚われもしました。

事件そのものの性格もあり、じっとりと重く、やるせない。そういう読後感を残した物語でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年11月23日
読了日 : 2020年11月23日
本棚登録日 : 2020年11月23日

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