金田一耕介の長編の中でも、特に怪奇色が 強かったと感じる作品だった。
いつもは犯人に同情的な探偵が、今回はあからさまに嫌悪と侮蔑を放つ珍しい一面を見せている。
相変わらず何人も死ぬし、殺人のトリックも単純なもの。
謎解き重視で読むと疑問符がつくが、昭和5年の事件から始まった怨念、執念の行き着く先を見届ける物語として十二分に楽しめた。
惜しいのは館のイメージを想像しにくい点。
一部の部屋の見取図だけでなく、館とその敷地全体の地図を最終章あたりに入れて欲しかった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年8月21日
- 読了日 : 2019年7月10日
- 本棚登録日 : 2019年8月21日
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