受験真っ只中で読みふけっていた。読みやすく、こてこての純愛ながら心打たれた。
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2017/09/19
この作品を手に取ると、鮮明に思い出す。
高校卒業間近の3階の教室の窓際。冬ながら小春日和で日差しが暖かかったこと。中庭に輝くようなハクモクレンが咲いていたこと。冬休みの静かな校舎。先生の担いでいた脚立。何を読んでるの?と聞かれて応えると、「お民さん、」と先生が言った。自分の名前を呼ばれたような気がして、頬が熱くなったこと。暮れるのが早い冬の西日が眩しかったこと。
永遠のような静かな時間が心地よかった。十年、二十年のちにこの本を読んでも、きっとまっさきにこの日を思い出す。幸福を感じたこと。人生でいちばん、美しい日だったこと。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
近代文学
- 感想投稿日 : 2011年10月30日
- 読了日 : 2005年1月18日
- 本棚登録日 : 2011年10月30日
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