野菊の墓 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1955年10月27日発売)
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本棚登録 : 1599
感想 : 181
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受験真っ只中で読みふけっていた。読みやすく、こてこての純愛ながら心打たれた。
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2017/09/19
この作品を手に取ると、鮮明に思い出す。
高校卒業間近の3階の教室の窓際。冬ながら小春日和で日差しが暖かかったこと。中庭に輝くようなハクモクレンが咲いていたこと。冬休みの静かな校舎。先生の担いでいた脚立。何を読んでるの?と聞かれて応えると、「お民さん、」と先生が言った。自分の名前を呼ばれたような気がして、頬が熱くなったこと。暮れるのが早い冬の西日が眩しかったこと。
永遠のような静かな時間が心地よかった。十年、二十年のちにこの本を読んでも、きっとまっさきにこの日を思い出す。幸福を感じたこと。人生でいちばん、美しい日だったこと。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 近代文学
感想投稿日 : 2011年10月30日
読了日 : 2005年1月18日
本棚登録日 : 2011年10月30日

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