学生時代に読んだときとはだいぶ印象が違う(そりゃそうだ)。
小説中に散りばめられた太宰の甘え。
「こんなに、僕はひとりで苦しんでいるのだから、どうぞ優しくしてください」
好き勝手やって人に迷惑かけて何を言う。と、大人になってしまった私は思う。
だけど、甘えの下からこぼれる悔し涙を、絶望の吐息を、美しい言葉に昇華する。錯乱した精神が、原稿用紙に向かうときだけは研ぎ澄まされるかのように。つくづく純文作家だなあと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
退廃
- 感想投稿日 : 2010年5月6日
- 読了日 : 2006年10月8日
- 本棚登録日 : 2006年10月8日
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