さよなら、私のクィンターナ

  • 慶應義塾大学出版会 (2012年1月20日発売)
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感想 : 5
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子どもが出来なかっため、産まれたばかりのクィンターナを養女として迎えた著者・ディディオンと夫・ジョン。二人は、クィンターナに養女である事を隠さず育てた。
 親が育てられない赤ん坊が、今病院で産まれたが養子にするか?という電話で、クィンターナと出会い、養子縁組審査のハードルを飛び越え、晴れて親子になれた三人。養女である事は隠しておくべきだというアドバイスもあったが、二人はあえて隠さず接してきた。それゆえ、幼いクィンターナから発せられる「もしその電話(養子に出したい赤ちゃんがいる)がかかってきたときに、ママたちがいなかったら私はどうなったの?」という素朴な不安にも立ち向かう。
 また、作家であるディディオンが自著で養女である事を公表したために、私が産みの親であるという数々の手紙や電話にも対峙する。
 そうした状況や、かわいらしい(表紙は本人の写真)クィンターナを溺愛する二人や、クィンターナの幸せな結婚式がつづられる。
 しかし、結婚式の後、夫のジョンは、夕食後突然倒れ亡くなる。そして、クィンターナも続けて亡くす。幸せな花嫁の両親から、1年あまりのうちに娘を失った未亡人になってしまう。その後の、自分の老いをも冷静に見つめる。

 その強い精神と、鋭い感性に感心してしまう。強い女、という一言が似合うが、決して冷たい感じではなく、抱きしめてもらいたいような暖かさと大きさを感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2012年5月16日
読了日 : 2012年5月16日
本棚登録日 : 2012年5月3日

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