看護覚え書 改訳第6版: 看護であること・看護でないこと

  • 現代社 (2000年1月1日発売)
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感想 : 20
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原著者は、かの有名な近代看護の祖、ナイチンゲールである。

ナイチンゲールといえば、戦場で献身的な看護をした天使のような人、というようなイメージで知られているが、当然それだけで、これほどまでに世界中に知られる偉人となるはずはない。

彼女は近代看護の発見者・提唱者であり、また、衛生学者であり、統計学者であり、そして建築にも通じていた。さらに、女性の社会進出についての考え方についても一家言を持つ、ただしバランスの取れた考え方を持つフェミニストでもあった。

本書では、そのナイチンゲールの思想のうち、主に看護一般の事柄について、丁寧に記されている。ただ、ここでいう看護とは、看護を職業とする者による看護のみを指すのではなく、家で看病(看護)をする一般の方にも向けられている。

そして、19世紀に生きた彼女の思想は、未だ現在の衛生管理や医療の問題点にもなっているのである。本書から読み取れるナイチンゲールの先見性には、まさに目を見張るものがある。

翻訳本としても版を重ね、訳は非常にこなれており、読みやすい。看護学生には必読書であることはもちろんだが、ぜひ現在に生きるすべての女性に一読をお薦めしたい本である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 医学医療
感想投稿日 : 2010年9月10日
読了日 : 2008年8月1日
本棚登録日 : 2010年9月10日

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