流れの可視化入門 (可視化情報ライブラリー 1)

制作 : 可視化情報学会 
  • 朝倉書店 (1996年12月1日発売)
4.00
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 3
感想 : 0
4

空気や流れの可視化に個人的な興味があり、読みまくっていた。層流と乱流を見分けたオズボーン・レイノルズ、超音速を可視化したエルンスト・マッハ、境界層を考え出したプラントル、カルマン渦、どれも衝撃だった。

物体の受ける力、球のまわりの流れ、マグナス効果、流れの表し方を研究するにつれて、スポーツにおける動力学や流体力学へと没入していく。原子までのミクロのレベルでの応用例を考えると、結局は、芸術や哲学にたどり着いていくのが面白かった。火焔土器、ゴヤの名画、尾形光琳、そして万能の天才レオナルド・ダビンチ。この本は、物理屋にとっては名著であり、すべては流れの中にある。熱力学や量子力学も含め、粒子と波動をどのように包括的に捉えていくのか、それに対する哲学的な解釈はとても面白いのだ。AIや「頭のいい生き方」を定義しようとするいまの日本人には、こうした本を書いたり、理解できる人はいなくなるだろう。基礎研究を疎かにして国の経済発展などあり得ないのに。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 科学
感想投稿日 : 2019年9月7日
読了日 : 2019年9月7日
本棚登録日 : 2019年9月7日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする