絶対城先輩の妖怪学講座 七 (メディアワークス文庫)

  • KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2015年8月25日発売)
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感想 : 14
4

続きものやから、できるだけ間を開けずに読もう、読もうとかいいつつ半年…。
前作を読んだのが2月やで!? うへえ。こないだ読んだような気がするのに、何って、早いわ、日が経つのが!! (そこか)

ちゅうことで、毎回同じことを繰り返すけれども、独特な著者のリズムについていくのにしばらくかかる…(笑)。
そうそう、こういう内容と(元々ホラーにも伝奇にも妖怪にもさほど興味がないので…)(じゃあ何で読んでるん)こういうノリやったよね~、と、思い出してからはスルスルスルッと読了した。今回も、大変面白かった。

「スカイJ」って実在するん? しないよね?
ちゅうか、植物がめっちゃ怖くなってきたんですけど!
巨大な神木ってトトロに出てくるみたいなイメージしかなかってんけど、そんなことないやん‼ めっさ怖いやん‼ 笑

まあこれは、もしかすると神籬村に来た人間が最終的にはご神木を切ろうとするから、切られるわけにはイカンという神木からの反撃なんかもしれへんけど…。
それにしても…。
だって空木さんは、ナンジャモンジャの木の腐朽菌を何とかしてあげようと思ったわけやろ…? ひー。

子孫を残すことを最終的な「勝ち」にする話って、SFでもよくあると思うんやけど、すっごい怖い。
パッと見は、この話だって、最終的にはナンジャモンジャの木は枯れたんやし、めでたしめでたしのはずやのに、全然めでたくない。
めっちゃ後味悪い。(;^ω^)

でも、そこを追求してもしょうがないねんね。ちゅうか、できひんねんね。
ナンジャモンジャの木がほんまに遺伝子情報をばらまいたんやったら、また数年後に誰かが対処するしかないわけで…。

先のことまでこだわらない。
こだわらないというか、先のことを対処するためには先人の知恵を借りようっちゅう感じかな。


さてさて、今回は途中に杵松さん主観の章も入っていて、なかなか面白かった。
連作短編というのとはまた違うけれど、一応ひとつひとつの章が独立しながら全部つながっていて、読み終わったら1冊通してまとまって長編になっているこの構成はうまいなあと思う。

内容量もなかなかやと思うのに読みやすい。
最初のころの(?)心霊現象やと思っていたことを舞台装置的なものでおためごかすみたいなノリが懐かしいよ…?

(あっ、今回は久しぶりに杵松さんの章でそういう展開になってたけど!)

ほんで、今回も順調に乙女な絶対城先輩と、またもや拉致監禁されて自力で脱出する礼音ちゃんね…(笑)。
今回の礼音ちゃんは媚薬的なものに侵されて下着姿で監禁という、どこをどうとってもアレな展開にしかならなさそうな味付けやのに、男前男前。読んでてほんま安心できます。

平成の女子は、礼音ちゃんみたく、自分で自分を守らんとあかんからね! 誰かに助けてもらえるとか思ったらあかんねん、世知辛いよなあ。(;^ω^)

そういう意味で、このシリーズって、「今どき」やなあって思う。とってもいい意味で。
私が礼音ちゃんぐらいの年齢のころは、「いかに守ってもらえるか」が女子としての数値の高さやったような気がするので、自分で自分を守って、必要か不必要かの基準すら自分で選んで一人で生きていってもエエねんでってここまでわかりやすく出してくれるお話を若いころに読めたら選択肢が広がっていいんちゃうかな~、と、思ってしまう。

(なんかめんどくさいこというてる)
(申し訳ない)

大丈夫、フォーティーズの私は、自分で自分を何とかしようと思い始めてるから(今頃!?)。


あと、先日もたばこのもらい火をする男子を見たんやけど(@寺町三条のホームズ)なにこれ流行ってんの。
まさか杵松さんと絶対城先輩でそのくだりを読むとは…。

それにしてもこのシリーズは根っからの悪人が出てこない。
織口先生も最初は大概やったもんな…。前作では晃さんが大概やったのに、今回の冒頭でも作中でも礼音ちゃんとのんびりお茶までする仲になって、礼音ちゃんそれでエエのっちゅう具合。

今回登場した杉比良さんもなかなかの女性やのに、この調子やと礼音ちゃんとのんびりお茶する仲になりそうやな。
礼音ちゃん、どこまで懐が広いねん…。

ちゅうか、この三人の女性の共通項って、礼音ちゃんを拉致監禁したっちゅうねんから、恐ろしいわ。笑


知らずに不安がるより、知って苦しむほうが、確かにマシかもしれへんなあ…。
きついのはどっちもきついので、出来ることなら味わいたくないけど、どちらかを選ばないとあかん二者択一なら後者のほうがマシかも。

最悪なことでも知ってしまったらあとはそれを飲み下すしかないもんな。飲み下すってことは、ある程度の覚悟も備わるわけで。

せやけど、知らんままっていうのはしんどい。
ああだろうかこうだろうかと疑心暗鬼にとらわれ続けるのって、延々と続く上に救いようも落としどころもない。
いい方向のことなら、悩んだり考えたりしてるだけで幸せなんやけどね。

ほんま、想像力っていうのは、いい方向にだけ使いたい。
悪いことばっかり想定せなあかんような想像力はいらんわ。悪いことを事実としてとらえて、その後どうするか対処法を考えるほうが、そりゃあ、ましかな。


あと、装丁というか表紙と扉絵のデザインがびみょうにかわった? 絵を描いてはる方は一緒やけど、なんか、デザインが変わったかなーって。



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■売文業

文章を書き、それを売った報酬で生計を立てること。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年7月4日
読了日 : 2017年7月23日
本棚登録日 : 2020年7月4日

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