過去に犯罪を犯した加害者の生き方を、テーマにしている薬丸著『友罪』を先ごろ読んだのに関連し、あくまで被害者救済をメインテーマにした現役弁護士の本書を12年ぶりに再読。
「人権」が、罪に問われた個人を国家から守るという成り立ちから、罪を犯した加害者に比重が置かれ、被害者の人権が疎かになっていると、著者は現状を憂いる。
確かに、最近の特に悪辣な少年犯罪を見るに、加害者の人権ばかりが手厚く保護され、被害者およびその家族がマスコミの餌食になっっているのは、周知の事実。
著者はそこで、犯罪被害者を制度的に経済的に救済するために新人権主義(民刑併合を復活させ、刑務所で、出所しても、一生を賭けて犯罪者に完全賠償させる)を唱える。
短絡殺人が横行し、再犯率が増加の一途をたどる現在、被害者の泣き寝入りを防ぐためにも、傾聴に値するけっして古くない提言である。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エッセイ
- 感想投稿日 : 2016年2月2日
- 読了日 : 2016年1月31日
- 本棚登録日 : 2012年9月13日
みんなの感想をみる