他の作品のところでも記したが、著者の小説(文庫化後であるが笑)には、つい手が出てしまう。
魅力的なタイトル(どういう内容だろうと興味をそそられる)と、読みやすさから。
平易な文章と、読者の胸に問いかけるテーマの多様性により、普段あまり本を読まない人々も手に取り、ベストセラーになるのだろう。
本作のテーマは、諸外国からは遅れているとみなされる日本の脳死と、臓器提供を巡る問題。
娘の脳死を受け入れられない夫婦が、驚くべき方法(最先端の技術の応用)で、娘との生活を続ける。ここら辺は、如何にも理系出身の著者らしい発想。娘はこの先どうなるのだろうかと、読者は目が離せない。
そして終盤、現代日本の法制の不完全さを衝く母親の行動には、頁を繰る手が止まらなくなった。
遂に迎える終局は、著者のストーリーテラーとしての巧みさに瞠目。
最後、母親が娘の遺影を前に語る。
「この世には狂ってでも守らなきゃいけないものがある。そして、子供のために狂えるのは母親だけなの」
母は強し!
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
推理小説
- 感想投稿日 : 2018年7月8日
- 読了日 : 2018年7月7日
- 本棚登録日 : 2018年7月8日
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