魔女と過ごした七日間

著者 :
  • KADOKAWA (2023年3月17日発売)
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本棚登録 : 7240
感想 : 483

ラプラスシリーズ3作目。
羽原円華が立派な大人の女性に成長してる!
これまで、運転は桐宮女史。
ボディーガードにタケオが付いていた。
今作では、自分でピンクの車を運転し
ひとりで自由に事件解決のため駆け回る。

円華の不思議な力にはさらに磨きがかかり、
父親を亡くした少年と少女のため
危ない世界での交渉をやってのける。
さらに、警察内部の闇にも迫ることに…。
ミステリー要素満載の一作でした。

東野圭吾さん、この作品で
大きく二つの問題を投げかけているのでは?

ひとつは、国家によるデータ管理の問題。
DNAやマイナンバー、監視カメラ映像など。
国の都合の良いように情報管理をされていないか。
「法律は国家にとって都合のいいように作られている。
何が正しいかは、自分で考えなきゃいけない」
これは円華が少年たちに言った言葉です。

もうひとつは、AI社会に対する警告。
「人間の可能性をもっと信じるべきです。
AIを相手に卑屈になってどうする」と。
そして、複雑に絡み合う事件の鍵は
まさに『AI vs 人間の能力』にありました。

今、話題のチャットGPT。
産業革命以来の大発明だと言う人もいます。
学習能力の高さには唖然とさせられますが
使うのは人間の方で、
けっして使われてはいけないですよね。

次々に繰り広げられる新たな展開。
読者を わくわくドキドキ させながらも
現代の問題点を鋭く突いてくるところ、
さすがです。

最後にふたつ。
円華さんのピンクのニット帽、
表紙の絵に描いてほしかったな。
そして、最終章の陸真の引越し。
段ボール箱二つだけの持ち出し荷物。
なぜそれを? ちょっと不思議。
もしかしたら、次作の伏線になるのかな?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 東野圭吾
感想投稿日 : 2023年5月1日
読了日 : 2023年5月1日
本棚登録日 : 2023年5月1日

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