どこまでも澄みきった美しい世界。
時空を超えた愛の詰まった作品。
読み終えてしばらくの間、どんな音も聞こえないくらい世界が静かになりました。
初めて読んだ原田マハ作品。
恩田陸の『蜜蜂と遠雷』で受けて以来の衝撃が走りました。
キュレーターとしての造詣の深さと絵画に対する深い愛情に、
大きく心を揺さぶられる作品でした。
バイラー邸で1日一章ずつ読むようにと与えられた課題の「物語」。
これを書いた作者についてのティムの謎解きは感動的でした。
そして、ティムが織絵に再会できたら言おうと心に決めていた言葉が、
心の中にしまわれたまま終わるのも素敵です。
記憶に残る箇所はたくさんあるのですが、なぜか1か所、心に響く1節がありました。
それは第一章の最後。
こんな風に決心する時の心象を表現できるなんて…。
* * * ごとり、と鈍い音が耳の奥で響く。これは、何の音だ。ああ、そうだ、
蓋の開く音だ。16年もの間、重く固く閉じられていた「パンドラの箱」。
その蓋が、いま、開けられたのだ。* * *
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
原田 マハ
- 感想投稿日 : 2021年3月13日
- 読了日 : 2021年3月13日
- 本棚登録日 : 2021年3月11日
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