現代のヘンゼルとグレーテル。ただし、主人公は健気な兄弟ではなく、かつてヘンゼルとグレーテルを童話として読んだ少女たちが40年程時を経て、すっかり童心など忘れてしまったかのような、たくましくも切なく生きているおばちゃまたち。
本当は、遭難があのように楽しい事などなくて、無事全員で下山出来るなんてあまり考えられないのですが、そこは、現代のメルヘンストーリーであるが故に、許されてしまいます。
シビアな現実と戦い続けて、疲れ切った女性たちに捧げてくれた、大人のための童話のような映画でした。
おばちゃんたちが、これまで生き抜いてきた技と知恵を振り絞って山の中での生活も切り抜けていくすばらしさが、どこかコミカルで、素敵で、ほほえましい。
怖くて泣いてしまうのも、楽しくて笑ってしまうのも、夢で涙を流してしまうのも、どれの姿も人として何か素朴な気持ちに返らせてくれます。悩んでついてしまった額のしわも思わずほどけてしまいそうな。
泣くまいとかみしめていた奥歯が、思わず緩んでしまいそうな。
ものすごく感動する訳ではないのですが、かといって、表現が乏しすぎる訳でもなく、ちょっとした癒しの時間が過ごせるほのぼのとした映画です。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年3月6日
- 読了日 : 2016年1月18日
- 本棚登録日 : 2016年1月18日
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