2008/6/20 読了
594ページ
沖縄ネタで本を探していたら、桐野夏生好きの妹からのお薦め。
夏に宮古行きを予定しているので、宮古弁に引き込まれた。
やんばるの山中で出会った2人。
何かから逃げてきた記憶喪失の僕。
現実から逃げてきたアキンツ。
僕はアキンツに"ギンジ"という名をもらい、2人の自分探しの旅が始まる。
8章まではギンジとアキンツの視点で交互に展開。
残り2章はギンジの記憶の回復と収束。
悲惨な家庭環境で育ち、死を望んだギンジ。
甘やかされた環境で育ち、楽天的なアキンツ。
対照的な2人が辿る顛末は、どちらも救いようのない"負"を辿る。
沖縄の楽園のようなイメージと対照的なギンジとアキンツの現実。
強い日差しが作る影のように、深く濃い闇が描かれていた。
夢も希望も未来も全くない話。
残念なのは、最終章。
瀕死のアキンツの視点があれば、良かったように思う。
アキンツは"甘え"を、雄太(ギンジ)は"プライド"を、捨てられなかったから社会から逃げてしまう。
転落は些細なきっかけで始まってしまい、はい上がろうともがく程、容赦なく堕ちていく。
反面教師としても内容は濃い。
負けを認め、逃げずに受け入れる。それが、社会で生き残る方法かもしれない。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年10月24日
- 読了日 : 2008年4月20日
- 本棚登録日 : 2017年10月24日
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