落ち着いた色味のかわいい装丁、そしてシベリア鉄道、それも与謝野晶子、中條(宮本)百合子、林芙美子の足跡を訪ねるという評伝とも紀行文とも言えない、なんともまぁ不思議な本。著者森まゆみさんのことも、谷中千に詳しい人?というくらいの認識しかなかったが、、。
不思議な魅力満載の『女三人のシベリア鉄道』は、今年読んだ中で最も魅力的な1冊だ。
当初は読みにくさを感じ、あとがき含めて345ページというボリュームで読むのを止めようかと思いつつ、いつの間にか森さん自身のシベリア鉄道旅と、とりあげている彼女たちの旅路やら人物そのものの描き方がなんともいえずによい。時には主語が森さんなのか、彼女たちのことなのかわからなくなって、読み返すことも多かったけれど。
文学史的な意味でしか三人を認識していなかったけれど、森さんの取り上げる彼女たちの作品はなんとも魅力的。とくにそれぞれが記したシベリア鉄道紀行は、なかなか長編のようだけれど、機会があればぜひ読んでみたい。
旅物の書籍はいろいろあれど、人生の折り返し地点の今、いろいろな意味でこの『女三人のシベリア鉄道』は、まさにおすすめしたい1冊。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2009年12月26日
- 読了日 : 2009年12月26日
- 本棚登録日 : 2009年12月26日
みんなの感想をみる