著者のダニエルが歩んだ非凡な半生を描いた手記。
生まれながらに知的障害を患い、特定の分野で天才的な能力を発揮する「サヴァン症候群」という症状も見られました。特に数字と言語の分野で秀でた才能を見せ、数字や文字の一つ一つを異なる色や形、手ざわり、性格などで捉える「共感覚」を持ち、数字の羅列が美しい風景に見えるといった不思議な感覚を持ち合わせています。
幼少期は内に籠る性格をしていたようですが、思春期を越えてからは一人の行動も増え、周囲とも積極的に交流していきます。人との意思疎通や予測不能な出来事への対応が難しい面があるようですが、文章を読む限り内面的なハンデを背負っているようには感じません。屈託ない、整然とした言葉で綴っています。
稀有な才能を手にしたことで見える不思議な世界は、読者をも不思議な感覚に引き込みます。欲を言えばもう少し内面について語ってほしかったなぁとも。
読めば読むほど、人間の脳の働きに興味が湧きます。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
外国文学
- 感想投稿日 : 2016年9月8日
- 読了日 : 2016年9月8日
- 本棚登録日 : 2015年8月31日
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