ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

  • NHK出版 (2011年7月26日発売)
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本棚登録 : 1421
感想 : 171

映画観てました。ずっと読みたいと思っていた、ようやく。どうしても映画では時間関係で削られてしまっている部分まで隅々読めてよかった。
三世代の親子の視点から、彼らの人生そのものが書かれている。主人公の少年は9.11で父を亡くし心に傷を負った少年だ。が複雑に賢くウィットに満ちている。おばあちゃんのときにアメリカへ移籍してきた移民一家なのだ。だがもちろんアメリカ人でそこらへんのアイデンティティの移ろいが文章にされているカラフルさが見事だった。なぜかおばあちゃん、おじいちゃんの文は白黒に感じたし、主人公の少年の文はもちろんカラフルだった。不思議な体験。本書の作りが大変に凝っているのも一因だろう。よく翻訳、編集してくれたと頭が下がる。
あらゆるNYのブラック氏に会っていくことで少年は様々な人に出会う。苗字が同じだけで、他はすべて違う。スパイスのような手紙たちもそれぞれ味がある。
手紙の埋葬をする最後はピースが埋まるようなカタルシスがあります。でも人生はこれからも亡くした人を、困難を抱えながらも続くのだとも思う。少年の物語なのだから、もちろん未来があるのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 現代小説
感想投稿日 : 2022年11月21日
読了日 : 2022年11月21日
本棚登録日 : 2022年11月21日

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