涙無しには読めない小説は、今まで何冊も読んだ。
しかしこんなにも、読み進めるのが苦痛なほど涙がこみあげて、
何度も途中で本を閉じ、気の済むまで泣いてなんとか気力を振り絞るようにして読み進めるのは
この本が初めてかもしれない。
月並みな言葉しか浮かばないが、人間とは何か、深く考えさせられる。
この感覚は、実際に読んでみないと伝わらないのではないだろうか。
名シーンがいくつもあるが、私としては日本兵が出てくるシーンをあげたい。
特に、捕虜になっていた日本兵だ。
異常事態になったとき、真保さんが常日頃おっしゃられているように
人は振幅が大きくなる。
この日本兵は善悪の善の方に最大限に振られた良い例だと思う。
責任感、祖国への愛、目の前の命への感情
それに接した主人公たちの戸惑い
しかしそれが戦争なのだと思う。国と国が戦っていても、実際前線で命のやりとりをするのは
人と人なのだ。
それぞれに感情があり、家族がいて、思いがある。
ラストは個人的には意外ではあった。
しかし、予想していたよりハッピーエンドだったので良かったかもしれない。
戦争はそのあまりの大きさが、人や国に大きな爪あとを残す。
残るのは傷だけれど、そこにこうした救いもある。
少し救われる思いがする。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2010年2月8日
- 読了日 : 2007年8月4日
- 本棚登録日 : 2007年8月4日
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