アライバル

  • 河出書房新社 (2011年3月16日発売)
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本棚登録 : 2440
感想 : 324

素敵な本です。
例えば隣人愛なぞと言えば押し付けがましく困難で、時には偽善的ですらある。ところが人情と言いかえれば、それは私達が皆等しく最初から持っているもの。何の意識もしないけれど。

ここにあるほんのちょっとした一瞬の人と人との繋がり、触れ合い、温かみ。自然に出ては消える、笑顔や気づかい。
それこそが世界を我々を生かす大きな力なのではないか。

本書は現在の分断された世界に対する優しい戦いなのかもしれない。アキ・カウリスマキの映画「ル・アーヴルの靴みがき」の様に。
人情は金では買えないが、無くなった途端に世界は滅びるだろう。人の表情、仕草、その営みの何もかもがなつかしく心を打つ。

サイレント絵本。セリフがないからこそ無限のセリフが聞こえる。

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感想投稿日 : 2019年2月19日
本棚登録日 : 2019年2月19日

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